生々しさについて5

悪事や不道徳を減らす試みについて考えてみたい。 この問題を考えるには、ハード面とソフト面の二つの面から接近する必要があるだろう。ハード面とは、人間の置かれる環境のことであり、人間関係もここに含まれる。ソフト面とは、個人の内面のことである。 …

生々しさについて4

他人の心の痛みを想像する。これは、差別やヘイトスピーチを無くすために必要なことだと思われている。少なくとも法務省は、そう思っているようだ。ただ、残念なことに、他人に嫌がらせをしたり、差別をしたりする人は、他人の心の痛みを想像できる。想像で…

生々しさについて3

他人の気持ちになる、これは比喩表現だ。他人の気持ちは、どこまでも他人のものなので、自分のものになるはずがない。そして、自分が他人になることもありえない。しかし、「他人の気持ちになって考えろ」などと言って、他人に注意を促す人は多い。ヒラリー…

生々しさについて2

トランプ支持者には、白人中流層と白人の低学歴者が多いらしい。これが事実として、ここから有益な情報を引き出せるか否かは、実はそれほど明確ではない。中流層の人々というのは、収入がそこそこで、今や安定を失いつつある人々だと言われる。だとすると、…

恐怖!人工知能男

機械に仕事を奪われる。人工知能に仕事を奪われる。どちらも短期的・中期的な出来事としては起きたであろうし、起きるであろう出来事だ。なぜそんな悲劇が起きるのかといえば、人間の労働力も機械や人工知能の労働力も商品だからである。正確には、機械や人…

生々しさについて1

私は、トランプ勝利が、彼の勝利によってもたらされたものではなく、ヒラリーに代表される「良心的」知識人の敗北によるものだと思っている。では、どうして「良心的」知識人は敗れたのか?それは、生々しさの欠如なのだと思う。そんな話を前回もしたが、今…

彼らは何に失望したのか

トランプ氏が大統領選で勝利した。文化人、知識人は失望したり、当惑したりしている。僕にとってトランプもヒラリーもどうでも良い存在ではあるが、ヒラリーを嫌った人たちの気持ちは、何となく分かる。それは、洗練された人々に対する「きれいごとぬかしや…

空気を読む

「日本人は空気を読む」という説がある。科学的に検証されたわけではなく、おそらく山本七平のような権威の力を借りてふりかざされている説ではないか?空気を読むということは、その時々の場の状況に適した行動や言説を選択するということであり、それなら…

戦をたしなむ

戦国武将達が天下統一を目論んだ理由は分からないし、平和を実現するためだったとも思えないが、どれほど勇ましい武将であっても死ぬのは嫌だったに違いない。その意味では、万人が戦を嫌っていたとも言える。同じことは近現代にも当てはまるだろう。戦犯と…

戦争と平和

正直なところ、戦争も平和も何を意味しているのか説明できない。説明できないということは、その程度の理解なのだろう。平成26年度の交通事故死者数と自殺者数は、それぞれおよそ、4千人と2万5千人。合計すると2万9千人となり、これは、日清戦争での日本軍死…

学校の勉強は役に立つか? その2

勉強は、金を稼ぐのに役立つ。これが前回までの話であった。アルバイトを経験したことのある高校生くらいになると、金を稼ぐことの魅力も実感として理解できるようになるだろう。でも、小学生や中学生を魅了する答えとしては、あまり期待できるものではない…

学校の勉強は役に立つか?

まるで思春期の少年のような問いについて考えてみたい。この場合、学校とは、小学校と中学校と高校を指す。今回、大学を含めるのはやめておく。さて、学校の勉強は役に立つか否かであるが、この問いに答えるためには、「役立つ」という言葉に注目する必要が…

悪の組織

よくよく考えてみると、悪の組織というのは面白い。 組織というのは、円滑に運営しなければ、かえって目的を遂行できなくなったり、組織の構成メンバーたちが著しい損害を被ったりする可能性がある。だから、組織として活動する以上、構成員の仲たがいや情報…

暗さの理由

シリーズもののミステリー小説が読みたくなって、吉永南央の『萩を揺らす雨』と『その日まで』の2作品を古本屋にて購入。2作品は、「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズの第1巻と第2巻に該当する。ちなみに、まだ第3巻は出ていないようだ。 この作品の主人公…

しょっぱいコンクリート

某大物政治家が、またも自分の発言によって騒ぎを起こしたらしい。敵の揚げ足をとり、自分に有利な場を作る。これも良い政治家であるための仕事の一つだと思うので、失言の少なくない政治家は、それだけでも悪い政治家と呼べるだろう。自分の支持者や属する…

因習の耐えられない重さ4

憶測と妄想に基づいて議論してきたが、これまでの話を要約しておく。僕の限られた経験では、学問(国語、数学、社会、理科、英語)をがんばる方が、スポーツをがんばるよりもリスクが低い。しかも、一度スポーツでがんばる生き方を選んでしまうと、その道で…

足元を見るということ

県立図書館で何冊か借りてきた。その中に、『夫婦別姓大論破!』(洋泉社)という本があるのだが、読んでいて驚かされた。驚かされたといっても本の内容にではない。何人前の借主だか知らないが、本の扱いの酷い人がいたらしく、角の折り曲げられたページがい…

因習の耐えられない重さ3

肉体に依存して生きることは、頭脳に依存して生きるよりもリスキーだ。これが、前回の結論だった。 運動のみが得意な佐藤君は、今回、無事にスポーツ推薦によって、志望した高校に入学した、と仮定して欲しい。もちろん、勉強のみが得意な山田君も、無事に志…

因習の耐えられない重さ2

あり得ない仮定ではあるが、ここに、勉強のみ得意な子供と運動のみ得意な子供の2人がいるとする。今後、勉強のみ得意な子供を山田君、運動のみ得意な子供を佐藤君と呼ぶ。もちろん、どちらも架空の人物だ。 小学生、中学生だったことのある人ならば、山田君…

因習の耐えられない重さ1

バスケットボールや柔道で、暴力が話題になっている。少年時代が明治や大正だった世代は既にほとんど生きてはおられないであろう昨今、たいていの大人は、小学校⇒中学校⇒高校という義務教育+αを経験していることだろう。そうであれば、野球部やサッカー部の…

アゲインスト・マッスィーン

去年のことだけど、googleの自動走行車が、ちょっとしたニュースになった。米国のある州では公道を走ることができるようになったとか、あと数年で実装した自動車が市場に出回るだろうとか、「明るい」論調のようだった。ただ、課題は残されているらしく、1)…

色の革命

いわゆる「色の革命」と呼ばれているもの。話題性を水増しするために「革命」と呼ぶことにしただけではないか?と疑われるものもいくつかある。これも前回と同様、ウィキペディアに詳しく記載されている(内容の真偽はともかくとして)ので、レジュメにもなら…

世界の領土問題

整理してみようと思ったら、内容の真偽はともかくとして、ウィキペディアにまとめられていた。⇒http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%98%E5%9C%9F%E5%95%8F%E9%A1%8C#cite_note-2できるだけたくさんの土地を領有したいと思うのは自然なことだ。生活するのに…

原点回帰

背景が白というのは、目に厳しいような気がしたので、背景を黒板に戻してみた。原点回帰、流行の言葉で言えば維新である・・・・・・ちょっと違うかもしれない。しかも、すでに日陰に追いやられた感すらする言葉になってしまった。でも、戻るというニュアン…

新年

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 長く続いた暗く重い時代が、終わろうとしているのか、それとも、まだしばらく続くのか、はたまた、より深刻な時代に突入するのか、成熟社会と呼ばれることのある我々の時代は、将来の予測…

死刑を考えるための視点

櫻井悟史『死刑執行人の日本史』(青弓社ライブラリー)によれば、牢屋と監獄とは異質なものであるらしい。その違いは、 江戸時代の牢屋が、1、未決拘禁所としての機能 2、有罪判決を受けた者を刑の執行まで拘置する場としての機能 3、永牢、過怠牢などの禁固…

神様は誰の味方か?

宗教談義を始めようというつもりはない。ただ、あの世というのが実在し、しかも、そこには神様なるものがいるのだと考えた場合、次のようなことが問題になると思う。それは、果たしてその神様という存在は、誰の神様なのか?ということだ。「誰の」という書…

戦時下の日常

それでは、世界(連合国側)が国連の成立や戦後世界の構築に躍起になっているとき、日本はどんな状況にあったのか。それを数回にわたって整理してみようと思う。ただし、あくまでザッとまとめるだけだ。とりわけ注目したいのは、当時の人々の日常生活だ。僕が…

欠陥住宅ができるまで―その3―

国際連合成立までの流れを見ると、国連の形骸化という問題は、国連という組織の外側からもたらされたものというよりも、先天的な性質なのかもしれないという疑いが生じる。見方によっては、西の代表=米国と東の代表=ソ連の二国間協定でしかないようにも見え…

欠陥住宅ができるまで―その2―

1941年の大西洋憲章には、通商の自由と経済協力の原則が表明されていた。これを土台に開催されたのが、ブレトン・ウッズ会議である。1944年7月 ブレトン・ウッズ会議 国際連合発足に至るまでの歴史を整理するのであれば、話の流れを中断させないために、今回…