欠陥住宅ができるまで―その1―

 いろいろ迷った結果、戦後の歴史を勉強するのが、もっとも実入りの多いことだと判断した。したがって、今回から長期に渡って、戦後から21世紀に至るまでの歴史について整理してみることにした。やはり欧米と日本が主要な舞台となると思うけれど、アジア(日本以外の)・アフリカ地域についての歴史にも必要があれば言及する。
 主要なテキストとして、山川出版社の『詳説 世界史研究』(木下康彦ほか編、1995年)を使うことにした。理由は単純。手元にある歴史関連の本の中で、最もスタンダードなものだから。制作サイドによる強い主義主張が全面化されているわけではないし、特定の地域や特定の時代に限定された歴史を記述しているわけでもない。つまり、高校教科書の延長上にあるような、クセのないテキストだからだ。なお、以後文中でテキストとある場合には、全て『詳説 世界史研究』を指すものとする。
 これはあくまで自分のためのノート作成なので、歴史の勉強をしたいと思っている人は、某池上氏の分かりやすい現代史関連の著作を読むなり、山川出版社の教科書を読むなりしたほうが、効率的に歴史の勉強ができると思うので、そちらをオススメする。

国際連合United Nationsの成立
1945年10月に、国際連合は正式に発足した。今回と次回では、そこに至るまでの出来事を中心に歴史を整理してみたい。

1941年8月 大西洋憲章
米国大統領ローズヴェルトと英国首相チャーチルが、戦艦プリンス・オブ・ウェールズ上で調印した憲章*1*2*3。この憲章は「民主主義国の戦争目的を明らかにするとともに、国民の意志に反する領土変更をおこなわないこと、国民の自由意志にもとづく政治形態を選定することなどのほか、将来における安全保障機構の設立を主張したもの」(テキスト、p.478)とされている。ちなみに、同年12月には太平洋戦争が勃発した。

1942年1月 連合国共同宣言
テキストに詳しい説明が載っていなかったので、ウィキペディア*4の叙述の一部を引用する。

「1942年1月1日にアルカディア会談において連合国26カ国(一部は亡命政府)により署名された宣言で、第二次世界大戦の戦争目的を述べ、各国が持てるすべての物的人的資源を枢軸国に対する戦争遂行に充てること、ドイツ、日本、イタリアと各国が単独で休戦または講和をしないことを明らかにした。この宣言が、その後の国際連合(=連合国)の基礎となった」

注目されるのは、「この宣言が、その後の国際連合の基礎となった」という部分だろう。つまり、現在の国連に対して全くの無関係なシロモノではないということだ*5。テキストによれば、この段階では新たな国際機構が具体的に構想されていたわけではないらしい。

1943年10月 モスクワ宣言
これもテキストには詳細が載っていなかった。ウィキペディアによれば、この宣言の正式名称は「ルーズベルト大統領、チャーチル首相およびスターリン首相により署名された残虐行為に関する声明書」であるらしいが、本当なのかどうか分からない。この宣言の意義は、テキスト的には国際平和機構設立の必要性が初めて語られた点にある。



【本】
『新進化論が変わる』(中原英臣、佐川峻著、講談社ブルーバックス)
『人類を救う「レンタルの思想」』(松井孝典対談集、ウェッジ)