名前

 DQNネーム、今は、キラキラネームって言うんだっけ。読みにくくて不便だなあと感じることはあるし、親のある種の愛のようなものが、子供の重荷になりはしないかと心配になることもある(嘘)。名前と社会階層とは関係がありそうな気がするので、本当に心配すべきなのは、そういった名前をつけられた子供たちの今後の経済状態なのかもしれない。
 ただ、そういった名前をつける親は、つい最近出現したわけではない。両親や親戚から伝え聞いた話では、「らん」とか「すて」という名前の女性が、知人にいたとのこと。今も存命なのかどうかは知らないそうだ。「らん」という名前は、一見、シャレオツだが、名前の由来は、「いらん!」という父親の掛け声らしい。また、「すて」も、敵軍に察知され難い(ステルス機能搭載)人間であって欲しいという親の願いが込められているわけはもちろんなく、「捨てちまえ!!」という親の思いが込められているそうだ。他にも、多くの人が知っているだろうけど、昔の女性の名前には、カメとかトラのような動物の名前そのままというものもあった。
 動物の名前をつけたのには、もしかすると、動物のように強い子供に育って欲しいという願いが込められていたのかもしれない(カメとかツルは、長寿の生き物とされているからゲンをかついだのだろう)。僕の親の世代でさえ、幼児期の致死率が非常に高かったのだから、「丈夫であれ」という願いが込められていても不思議ではない。ただし、「いらん」とか「すてろ」とかいった捨て台詞に由来する名前をつけられた子供が存在したことを知ってしまうと、DQNネームやキラキラネームは、親の手前勝手な欲望が優先してはいても、そこには確かに愛があるのだから、まだマシなのかもしれないと思わされてしまう。