ハチのコ・マーヤも食べ物

 伯父が、約10箇所ほど刺されながらも、スズメバチの巣を採取したらしい。蜂の子(つまり、幼虫)を食べるために。一度でも刺されたら死ぬものだと思っていたが、伯父はまだ生きている。でも、刺されたときは、さすがに顔が真っ青になったのが、自分でもわかったらしい。もちろん、病院へ直行。この飽食の時代に、何が伯父を命懸けの採取活動に駆り立てたのかは判らない。
 我が家にも蜂の子の佃煮を送ってくれた。ウジ虫のようにしか見えないものを食べるのは、正直バツゲームに近かったが、それでも伯父の死闘を無駄にしないために、食べてみることにした。
 佃煮だからなのかもしれないが、イナゴの佃煮と味は同じだった。違うのは、食感。「今まさに、ウジのような、柔らかい筒状のものを噛んでいるなあ」という感覚が歯から伝わってきた。イナゴよりも柔らかい分、生々しくて嫌な感じである。ただし、不味くはない。飢饉の際には、命の糧にしようと思う。それくらい追い詰められない限りは、また食べたいと思えるものではなかった。