ハニートラップ

実家からハチミツが送られてきた。我が家のハチ達から搾取した一品だ。
だいたい一升瓶2本分採取できたらしい。ちなみに、僕のところ送られてきたのは、小さなペットボトル一本分。
親のスネソムリエではあるものの、僕には、食物に対する鋭敏な味覚なんていうものは具わっていないのだが、このハチミツは、本当に美味しい。ハチミツの概念を変転させる程の美味しさだ。
今までの僕は、くまのプー氏が、あそこまでハチミツにこだわる理由が分からなかった。あのハチミツへの執着もプー氏の抜けている性格を表現しようとしたものなのだろうと、勝手に合点していた。
今ならば、そんな失礼なことを考えていた過去のあらゆる僕をジェノサイドできる。そう、あのプー氏のジャンキーっぷりは、正常な味覚の持ち主であれば当然の振る舞いだったのだ。
調べてみると、我が家のハチは、ニホンミツバチという珍しい種類なのだそうだ。僕たちが頻繁に目にするミツバチは、セイヨウミツバチ。攻撃的なセイヨウミツバチに対して、ニホンミツバチは、臆病で神経質なのだそうだ。危険を察知すると攻撃してでも巣を守ろうとするのがセイヨウ、巣を置いて新天地へと逃げてしまうのがニホン、ということらしい。ただし、スズメバチを蒸し殺すのはニホンミツバチの方。それと、ニホンミツバチは、全体的に色が黒っぽい。黄色と黒色でとても目立つセイヨウミツバチと比べると、ぼんやりとした配色だ。
ミツバチの越冬が成功するかどうかで、来年もハチミツを味わえるかどうかが決まる。ニホンミツバチは、寒さや伝染病に強い種らしいが、我が家のハチ君たちは、来年も搾取させてくれるのだろうか?