「類」型

「うなぎのゼリー寄せ」という言葉に魅せられてググってみたら、ロンドンのいわゆるイーストエンドの料理らしいということが分かった。分かったと言っても、この料理が、郷土料理なのか、それとも移民が持ち込んだ料理なのか、そもそもいつ頃生まれた料理なのか、等々についてはサッパリなので、別の機会に調べてみる必要がありそうだ。味について悪く書いているサイトは見かけなかったので、美味しいに違いない(?)。見た目で損しているタイプなのだろう。
 ロンドンには他にも「うなぎパイ」(≠浜松土産)という料理があるらしく、どちらも肉体労働者たちの暮らしていた地域に根付いた料理だというのを知った。
 うなぎで思い出したのは、池波正太郎の『剣客商売 辻斬り』(新潮文庫、2007年)だ。そこでは、うなぎ料理が、庶民の生活に浸透していった過程について軽く触れられている。この物語は、田沼政権下の江戸を舞台としているので、著者の言葉を信じるならば、その頃から店構え*1のうなぎ屋が現れ始めたらしく、田沼政権以前(明確な時期は不明)のうなぎは、「豆油*2やら山椒味噌やらをつけ」*3丸焼きにするのが主流で、「はげしい労働をする人びと」には好まれたものの、上流・中流の人たちには敬遠されていたらしい。
 上方の調理法(鰻を腹から開いて、食べよいように切り、焼く)が伝わって以降(これも明確な時期は不明)、好んで食べる人が増えたのだそうだ。ちなみに、鰻料理が大流行するのは、江戸風の調理方法(背開き→蒸す→焼く)と旨いタレとが登場して以降とのこと。
 江戸とロンドンとでは、時代も社会状況も大きく違うけれど、うなぎ料理が庶民の間に定着していったという点で共通しているのは、面白い。日本の場合、高級(中級?)料理になってしまったけど。
 ところで、今回、うなぎについて色々と検索していて、思いがけず、うなぎの血液には毒が含まれているということを知った。例えば、ウィキペディアやここ*4やそこ*5にも、うなぎの毒(イクシオトキシン)についての記述があった。ちなみに、同じ毒が穴子の血液にもあるらしい。このイクシオトキシンが、うなぎの旨さの理由のひとつだという説があるらしい。この説を見て思い出したのは、フグの旨さも毒に由来するという父の説だ。煙草と同様、ウナギやフグも食べ続けると止められなくなるのかもしれない。
 話は逸れるけど、僕の参照した鰻屋「うなぎ はす沼」というお店は、良心的な価格だと思った。タレが美味しいらしい。埼玉にあるお店なので、行くことができないのは残念だ。何だか急にうな重とうなぎの骨が食べたくなってきた。

*1:露店や辻売りでは無いということ。

*2:キッコーマンの公式HPには、「味噌の液汁で、現在の溜まり醤油の一種と考えられている」と説明されている-醤から醤油へ-しょうゆ発達小史 館内展示パネル キッコーマン国際食文化研究センター

*3:池波[2007]、p.145。

*4:http://unagi.saitama-e.com/unagi.html

*5:fish food times