「悲」しみのビフ

 何だか急に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が観たくなり、「第1部を観たら、ちゃんとお寝んねするんだよ。わかったね」と自分に忠告した後、再生をクリック。当初の予想通り、第3部を観終えてからお寝んねした。
 共感してくれる人はあまりいないと思うけれど、全3作を通じて最もかわいそうなのはビフ(とその先祖や子孫)ではないだろうか。まあ、酷い奴は不幸になって当然という暗黙の了解が、少年を主人公にした作品にはあると思うので、仕方ないといえば仕方ないし、昔は僕も「ざまあみさらせ!」と思っていた。だけど、今の僕は、マーティのパパやママの大逆転人生と比べて、ビフ・タネンの墜落人生には同情を禁じえない。
 この作品では基本的に、ドクとマーティ、2人の働き如何によってのみ、周囲の人間の人生も変化する。言い換えるならば、ビフを含めた全てのサブキャラたちは、マーティーたちによって翻弄されているだけに過ぎない。そう考えると、ビフのあまりの転落っぷりは、彼の人格を踏まえたとしても、厳しすぎるような気がするし、マーティーのパパやママも報われすぎのような気がするのだ。確かにビフはクソヤローではあるけれど、マーティーのパパやママも結構なダメ人間だ。
 だからといって、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が名作中の名作であることに変わりはないし、これからも繰り返し観続けることになるのだろう。観直す度に感想が変わるのも、名作の醍醐味だと思う。




【今日の映画】
「女番長 野良猫ロック
【今日の読書】
『ヨーロッパを見る視角』(阿部謹也著、岩波現代文庫)