「ル」リルリ

 国立「アニメの殿堂」、とても芳ばしい匂いのする言葉だ。仮に、ハコモノだった場合、立地条件に関わらず「国立だけあってビミョウだね」と子供達に言われかねない結果になりそうだ。日本にある数多の科学館*1の有様を思い浮かべただけでも、楽観的な気分にはなれない。
 だけど、文化の保存とか育成は、儲からなくて当然のものなのだから、採算云々という話は筋違いだろう。赤字を恐れてチンマリした殿堂を建ててしまうことのないように願っている。
 国の赤字が数兆円ほど増大するのを覚悟の上で、「SDF-1 MACROSS」をそっくりそのまま再現して、それを殿堂にするくらいの思い切りの良さを見せて欲しい。これなら、お台場を立地に選んだとしても、それを非難する声はかき消されるかもしれない。原寸大のガンダムが大地に立ったのを機に試みてはどうだろうか?上手くいけば、後々、世界遺産に登録されるかもしれないし、アニメやマンガを隠れ蓑に、実戦での使用に耐えうる仕様にしてしまうのも手だ。そろそろ空母が必要になるかもしれないし。


【今日の読書】
アフォーダンスの発見 ジェームズ・ギブソンとともに』(エレノア J.ギブソン著、佐々木正人・高橋綾訳、岩波書店)
『時局論(下) 芸術・文学論 手紙』(カール・マルクス著、村岡晋一、ほか訳、筑摩書房):本来、ここには研究関連の本は挙げないのだけど、これはどちらかというと趣味の領域に属する読みものなので。最近もマルクス関連の新書が出版されたらしいけれど、あの手の執筆者の主張をむき出しにした本を出版するよりも、マルクス本人のエッセイ風随筆風の文章を文庫に編み直して出版した方が、彼の魅力を伝えることができるのではないかと思った。それにエッセイとして十分に面白い。ちなみにこの本は、ハードカバーで3300円もする。これでは、一部の物好きしか買って読まないだろう。400円〜600円くらいの文庫本にして、カバーデザインも間違っても真紅に塗り潰したりなんかせずに、ソフトな感じに仕立てれば、買って読んでくれる人がそれなりに増えるように思う。