本を買う

例えばスーパーで夕飯の買い物をする場合、カゴに入れた大根やにんじんや牛肉は、大抵食べたことのある食材だ。買い物をする僕は、手に取った商品がどんなものなのかを十分把握した上でそれを買うわけだ。
先日、大学生協の書籍部ではセールが催された。新書や文庫を3冊以上買うと15%OFFという大変お得なイベントだ。しかし、奨学金前のカツカツ状態だった僕は3冊ぎりぎり程度のお金しかなかった。だから、文庫と新書の海から素晴らしき3冊を選ぶことにした。
そこで重大なことに気づいた。いや、正確には、前から薄々気づいてはいたことを明確に意識したと言ったほうが良いかもしれない。
ここでやっと前述の買い物の例と話がつながるのだが、今まさに買おうとしている本の中身を僕はまったく知らないという事実を店頭で一人勝手に気づいてしまったわけである。人が耳にすれば「あぁ、つまりあなたはヒマなのですね」と一蹴されてしまうであろう事実に気づいてしまった僕は、だからといって何らかの対策を練ることもせず、いつも通りのジャケ買いをしたのでした。
【今週の読書】
太陽の塔』(森見 登美彦、新潮文庫):表紙のデザインだけを見て購入。人によってはバイブル(?)になりうる本かもしれない。今知ったのだけど、別の作品が直木賞候補になっているんですね。
『おおげさがきらい』(池波正太郎講談社文庫):池波正太郎は、とうとう説教ジジイにはならなかった。池波作品は小説もエッセイもクールでドライだけれど、冷酷ではない。
注:説教ジジイ=「最近の若者は・・・」とか「最近の世界は・・・」なんていう定型句を恥ずかしげも無く口にする壮年〜老年の人の意。
【今週の映画】
ビッグ・フィッシュ』(ティム・バートン監督):お決まりの感動作品だと思って敬遠してた。観てみたら、良い作品。
ウルトラヴァイオレット』(カート・ウィマー監督/脚本):名作『リベリオン』の監督なので、「ガン型」の再来を期待していた。結果=少し残念。