便所の神様

国際日本文化研究センター | 怪異・妖怪伝承データベース
こんな面白いサイトがあることを知った。
とりあえず、つい最近まで流行っていた歌に登場する「存在」について調べてみた。いわゆる「トイレの神様」である。
このデータベースでは、論文の要約が載せてあるのが嬉しい。以下、要約の部分だけを引用して紹介する。

「身重の人が便所の掃除をきちんとすると、器量の良い子が生まれるという。お産に立ち会う便所神様がきれい好きなので、喜ばれるのだ。箒神様という神様も、やはり女の神様だという。」(中島恵子[1982]((http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1140434.shtml)))
「 便所の神様は盲目である。便所へ唾を吐くと目を病む。麻がらなどの捨木を溜の中に捨ててはならない。盲目の神様が拾い上げるのに苦労するからだという。他、俗信多数掲載。 」(野口 長義[1938]((http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1230653.shtml)))
「夜中に誰にも見られずに、便所を左回りに3回廻って「今晩は」というと、「はい」と返事があるという。これを聞くと怖いものが無くなるという。便所の神様の声。」(東洋大学民俗研究会[1982]((http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1461298.shtml)))
「便所に入るときは咳払いをしてからにしないと、便所の神様が出る。話者の叔母は紫の着物を着た女の人の後姿を見たという。」(同上((http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1461299.shtml)))
「便所の床に落ちていた米粒を「もったいない」と拾って食べたら神様になって、窓から空に飛んでいってしまった。」(同上((http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1461300.shtml)))
安政年間、竹内長太夫家の便所の神様が津波で流された時、信心の人の所には御札が、精進の悪い人の所には石が降った。」(國學院大學 民俗学研究会[1960]((http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/2360613.shtml)))
などなど、共通点もあれば、全く違う点もある。ただ、あの歌に登場する「おばあちゃん」の話には、ちゃんと土台があったらしいということがわかった。ただし、器量を良くするためには、もう一度、母親のお腹の中に戻る必要がありそうだ。

【本】
イラクは食べる』(酒井啓子著、岩波新書)
POSSE』vol.11(NPO法人POSSE編集発行、合同出版)
とろける鉄工所』第6巻(野村宗弘講談社)