「狂った」太陽

・昔の学生よりも色々なことを知っているが、仕事に対して熱心さと誠意とが足りない。
・人に依頼する傾向が強く、自らの境地を開拓しようという気迫に欠けている。
・いやな講義には出ない。
・試験2週間ぐらい前に、友達のノートを借りて読んでおく。
これは、1928年出版の前田一著『サラリマン物語』で述べられている当時の大学生像らしい。だいたい明治40年頃に生まれた人たちが、ここで描かれたような大学生活を送っていたのだそうだ。この大学生たちこそ、日本の高度経済成長を支えた世代だ。
また、哲学者の三木清は、昭和6年に高等教育機関(現在の大学相当)に入学した学生について、学校の過程以外は、雑誌「キング」程度しか読まないと批判したらしい。
・学生は、大企業のホワイトカラー志向でいるから就職難なので、自分で起業したり、現場労働からたたき上げれば仕事がないわけではない。
・最近の学生は、就職の希望が贅沢だ。
これは、昭和4年頃の財界人や時には大学教授などによって唱えられることの多かった主張だという。もちろん、このような主張の傲慢さや無根拠を指摘して反論した人たちも少なからずいたとのこと。
昭和4年とは、現在と単純に比較できるわけではないが、未曾有の大量失業時代と呼ばれた時代である*1
今回、ブログの内容は、多くを『「月給百円」サラリーマン』(岩瀬彰、講談社現代新書、2006)に依拠した。
歴史が繰り返すなどということはあり得ないけれど、「最近の若者」論というものは、進歩しないことになっているようだ。進歩しなくても良いので、変化くらいはしてほしい。

【本】
『日本売春史』第三巻(中村三郎著、東京日本風俗研究会)