「前」略

 無事に引越しが終了した。長かった寮生活ともオサラバだ。洗濯機も冷蔵庫もガスコンロも机も無い有様なので、まだまだ生活するための空間にはなっていないけれど、大学が始まる前には、何とかすべてそろえるつもりだ。今のところは、白米を炊いて、それにソルトをかけて食べる日々が続いている。なるべく早く文化的な生活を送れるようになりたい。ネットの契約も近々済ませるつもり。
 苦労の末に見つけた新居であるが、全部屋の半分以上が空室になっている。築年数も10年ほどだし、家賃も高くないし、大型スーパー等へのアクセスも便利。決して悪い条件の物件ではないだけに、なんだかちょっと不安だ。しかも、入居者がいるであろう部屋も、人のいる気配がない。まるで、僕1人だけが暮らしているみたいなのだ。
 怪しいと思いつつも、なんとなく過ぎて行く日々、自分以外の住人には相変わらず出会わない。これって、ホラー映画で一番最初の犠牲者(ポッチャリ系)にありがちなシチュエーションのような気がするんだけど、どうしたらいいんだろうか?