「ク」ロウ―被害伝説―

 そろそろカラスの繁殖期*1。威嚇攻撃ではあっても、生存しようとする強い意志による攻撃には、実に迫力があって恐ろしいものがある。何か闘気のようなものがカラスの身体から滲み出ているよう見えるほどだ。攻撃を逃れるためには、巣のある場所を避けるしかないのだけど、大学構内のカラス密度はかなり濃いので、気分はソリッド・スネークだ。
 そういえば、僕の実家の方でも鳥被害は長い間の難問になっていた*2。中学生の頃までは頻繁に耳にしたムクドリの害だけど、いつの頃からかパッタリ止んでしまったみたいだ。一時期は、商店街の店主たちが、ロケット花火のようなものを打ち上げて鳥たちを威嚇している光景が、通りの風物詩のようになってもいたのに。問題となっていた駅前周辺は、俗に言う「シャッター街」化が進み続けていたので(そして今も進行中)、人間の方がいなくなってしまった結果、ムクドリ被害が沈静化したということなのかもしれない。


【最近の読書】
『独学の精神』(前田英樹著、ちくま新書)
『不可能性の時代』(大澤真幸著、岩波新書)