「る」さんちおとこ

 ニーチェ的な意味でのルサンチマンという用語は、勘違いされて使われることが多いらしい。Wikiでも「弱い者の、憤りや怨恨、憎悪、非難の感情」のことだとされている。永井均という優れた哲学研究者によると、ある人が憤りや怨恨や憎悪をキッカケとして「自己を正当化するための転倒した価値意識」*1を生み出したとき、その人はルサンチマンに陥ったということになるのだそうだ。
 つまり、憤り〜非難のようなネガティブな感情を抱いただけでは、ルサンチマンではないのであり、善悪や勝敗を決定する基準となる価値観の逆転が(個人やある集団の内部において)生じたときに初めてルサンチマンが誕生するというというわけだ。
 どっちの解釈が正しいのかは僕にはわからないけれど、直感的には永井氏の見解が良いように思う。

【今日の映画】
「ヘアスプレー」:ミュージカルが生理的にダメな人でない限り、楽しめるはず。