灰色の魔都

 ヒトゴミは莫大なエネルギーを生み出す。これが高い経済効果や(ヒトゴミ特有の)犯罪や騒乱の源だろう。今回の歩行者天国中止は、ヒトゴミそのものを排除することで問題を解決しようとする試みなのだろう。対処の仕方としては、大変わかり易い反面、大変幼稚でもある。
 公園での事故を無くすために遊具そのものを撤去するとか、自然環境を守るために人間を攻撃したりとか、そういうのとよく似た幼稚さが見てとれる。もちろん、害悪そのものでしかないようなモノが実在するならば、それの廃絶に関しては僕は大賛成だ。けれども、歩行者天国や公園の遊具や人間の生活などは、長所と短所を併せ持ったものだ。長所と短所とが切り離すことのできないものであるならば、何とか折り合いをつけて妥協点を探すということが必要になってくる。おそらくこれが政治活動であり、大人な対処の仕方というものだろう。
 短所をなるべく発生させないように&長所をなるべく表に出すように、というような施行と推敲の繰り返しは、確かに面倒くさいことだし時間もかかる。だけど、「面倒くさいから全部壊しちゃえ」とか「全部捨てちゃえ」というのでは、通り魔の彼と同じ思考回路ということになってしまう。
 十徳ナイフに群がる多数の警官の記事を見ると、今回の中止が短期的なものであれ、無期限的なものであれ、グレーゾーンとの上手なつき合いかたを模索する必要を感じた。