追悼

 あっという間に3月になってしまった。2月が28日(時々+1)しかないことがうらまれる。
僕の弟が長崎に住むことになり、実家では引越しの準備で忙しいようだ。兄弟そろって日本の隅っこで暮らすことになるわけだが、傍から見れば親不孝で功名心のない兄弟なのかもしれない。手に職をつけるために旅立つ弟に幸あれ。
 僕の研究テーマは相変わらず「労働」なのだが、最近「働かない」ことについても勉強しようと思っている。そこで手にしたのはトム・ルッツという人の『働かない』という本だ。原題は『DOING NOTHING』だったと思う。怠け者と呼ばれた人々の系譜をたどっていくという面白い趣向の本で、毎日カウチに寝転がって何もしない息子に苛立ちを感じたのが執筆の動機だということだ。けれども、別に働くことを勧める啓蒙書ではありません。「働かない」という概念を理解することが研究に結びつくかはわからないが(この本を半分程読み終えた現時点で、かなり不安)、片手間として継続してみようと思っている。
 今回のタイトルは、「池田晶子、2007年2月23日、腎臓ガンのため死去」というニュースに関係する。いち愛読者として、2007年2月23日以降の新刊はもう刊行されないことが残念でならない。
【今週の映画】
『バロン』:テリー・ギリアム監督作品。「ほら吹き男爵の冒険」をもとにしており、バンプの「グングニル」が好きならきっと面白い。
【今週の読書】
『暗い宿』:有栖川作品。
『みなとみらいで捕まえて』:鯨統一郎作品。